PDF入稿は誰のために[後篇:深夜の怒りのメールだぁ〜。]

toshiroh2004-06-19

MacPower7月号の記事です。
「知識と意識の差が生み出すデザイナーの「勝ち組と負け組」というタイトルがついています(p56)。内容は最近としろうさんが力説している通り、これからのDTPの入稿形態はPDFになっていくだろう。色校正、文字化け無しなどいろいろなメリットがある。旧態依然とした環境にしがみつき、積極的に新しい技術を導入しないデザイナーは淘汰されているだろう。

うーん、OCRを使わないで?雑誌を引用するなんて、そうとう記事が気に入らなかったのですか?笑
個人的には、勝ち組とか負け組とかいう言い方って、嫌いなのですけどね。

古い環境は効率悪いけど慣れた環境でもあり、当面はすぐに新しい環境に負けるということはないでしょうけど、生産性の面で劣るから、徐々に差がつくのはありかもしれない。
ぼくはOS9DTPするのは嫌い...。OS9DTPするにはQuark専用機扱いにしないと作業効率が悪いので、勢い、メールチェックとかでもう1台MacかPCが必要になるので、落ちないMac OS Xよりは生産性は劣る...。笑

ただし、そういう道具の使い方が工夫できない人は、Mac OS Xでも同じだろうから、新しい技術を導入しても、淘汰されるデザイナーは淘汰される、苦笑。

ここで「デザイナーは淘汰される」って書かれているから、頭に来たんでしょう。

でも、これって印刷会社でもあり、編集者でもありということですよね。
だから、MacPower7月号の記事って、一般論であり、別にPDFに限らず、「これからのDTPの入稿形態はPDFに」というのを、「これからはMac OS Xに」、「これからはPowerMac G5に」に置き換えても通る、どうでもいい論調かも。だめですよ、こんな単なるアジテーションに引っかかっては、笑。

それに、乗り換えられる設備投資(お金)と、使い慣れるまでの時間的な余裕(これもタイムイズマネーかも)があれば、みんな乗り換えるんではないでしょうか。必要であれば?

なんて内容なんですが・・・・・頭にきますね。なぜかって?つまりPDF入稿にすると誰にメリットがあるか。印刷屋と編集者なんだと思うんです。文字、色の問題はすべてデザイナーに責任がくるわけでしょう。これは印刷屋はよろこびますよ。

うーん、デザイナーにメリットないですか?
たしかに、僕も今回の入稿で感じています。「喜ぶのは印刷会社じゃん」って。まあ、一番メリット感じるのはクライアントなわけですけど、現実として、これから仕事上で始まるのは、印刷会社とおれらの綱引きですよね。
印刷会社を楽にさせるために僕らが苦労するのはナンセンスだとは思いますけど。

これではデザイナーは興味示しませんよ。先に書いたように、恩恵を受けるのは印刷屋さんや編集者です。このへんがまったくわかってないんですよね。時代の先を行ってるつもりのMacPowerでも、編集者の頭からは抜け出せないみたいです。自分たちは楽出来るかもしれないけど、デザイナーはまた仕事が増えるじゃないかな。

たぶんね〜。どうやって楽にできるか考えないとだめなのが、面倒なのかも、笑。
とりあえず、PDFを作成する手間と時間がデザイナーや編集者(版元でなくおれらみたいなフリーランスね)にかかってくるわけですが、その手間だけで次のような別のメリットがあれば、今は十分ではないかと。

ひとつだけ良さそうだなと思ったのは、PDF入稿になると自分のシステム(フォントとか)で完結できる点かな。相手の環境(フォントなど)を考える必要ないからね。・・・・あれ、PDF入稿ってこのためにするのかな?

だから、PDFを作成するのに手間と時間がかかってはいけないんですよ。AdobeIllustratorInDesignにそういう機能を持たせるのも当然だけど、でも、そのPDFのままでは入稿できないというのもね〜、今のPDF入稿は中途半端、笑。

メリット受けるのは、印刷会社なんだから、だから、PDF作成が手間になったらいけない。それなら、僕も入稿はしないね〜。

でも、制作段階でも、僕はPDFにすることで、画面で印刷の仕上がりを確認できることにクリエティブなものを感じる...。

なんか違うんだな。紙のレイアウトからディスプレイでのレイアウトに変わったときは、デザイナーにとって本当にメリットがあったんです。画面上で仕上がりの色や形が確認できるし、IllustratorPhotoshopなどのツールはとても想像力を刺激してくれたんです。クリエイターなら誰でも飛びつきますよね。でもね、今回のPDF入稿はまったくクリエイティブなところとは関係のない話のように思われます。

もしかすると、やはりPDFはアメリカの基準で、日本の印刷はうるさすぎるのかもしれないけどね。
で、馬鹿にはさみではないけれど(笑)、先日からのうちのPDF入稿問題は、結局、これまでチェックができなかった印刷会社が、Adobeのツールのおかげで、PDF入稿でチェックできるようになったわけで、これを指して「文字、色の問題はすべて○○○に責任がくる」というのなら実感しますね。

でも、PDF入稿でうるさくなったチェックも、これまで問題があっても印刷に回っていたデータが回らなくなっただけで、これはデータの作り方(というか、昔から言われていることがまだ、うちも含めてケアレスミスであても、守られていなかったわけで)で対処したり、あとはAdobeのツールの機能アップで対応してほしい。

今回、PDF入稿のトラブルですが、その原因は大きく3つに分けることができて、1つめはCMYKで作ったBkがあった...これはうちのミス(でも、チェックツールが完璧でないと誰でも同じ轍を踏む可能性大)。2つめはPDFは裁ち落としがない(Adobeのバグに近い!!)。3つめがAcrobat Proのお墨付きがない(!)こと。

墨版の問題とかトンボの問題って、大昔のPS レベル1みたいな話ですよね。
だから、DTPの基本ができていれば、PDFは怖くない。怖いのは、印刷会社が虎の威を借る狐になること。

だから、まあ、PDF入稿でいろいろな問題が白日の下にさらけ出されているんですよ〜、笑。これは、両刃の剣だけど、すごく意味のあることかもしれない。

で、今回、うちもBk直したし、PDFの裁ち落としはAdobeの設定をカスタマイズして作成すればオッケー。あとは、印刷会社もInDesignのデータよりもPDF入稿のほうがいいといっているので(当たり前!)、Acrobat ProなしでPDF入稿になりそう〜。

こんな感じで、ワークフローが流れていけば、PDF入稿で印刷の仕事も変わっていくんではないでしょうか?
これから先もPDF入稿でないと入稿を受けない、と命令でもされたら、頭来ますけど、まあ、そうはならないみたいなんで...。

まあ、印刷会社は、ウハウハですかね(笑)。
でも、そうなると、DTPに関しては印刷会社、横一線になりますから、これはこれで印刷会社の競争も大変そうだな〜。

おれたちもPDFごときに手をこまねいていないで、これまでの延長で仕事していかないと、どこかの浮かれ編集者(おれもそれに近かったかも、汗)に、勝手に勝ち組、負け組にわけられちゃうかも〜。